シリコン表面をテクスチャ処理するための方法および該方法によって製造されたウェハ
专利摘要:
本発明は、シリコン表面をテクスチャ処理するための方法であって、pH10を超えるアルカリ溶液にウェハを浸漬させるステップと、電解質中でウェハと白金電極との間に+10から+85Vの範囲の電位差を印加するステップとを含む方法、および該方法によって製造されたシリコンウェハに関する。 公开号:JP2011515576A 申请号:JP2010550624 申请日:2009-03-12 公开日:2011-05-19 发明作者:インゲマル・オレフヨール;ティモシー・シー・ロンマソン 申请人:ノルト・ナーヴィク・アーエス; IPC主号:C25F3-12
专利说明:
[0001] 本発明は、シリコン表面をテクスチャ処理するための方法および該方法によって製造されたシリコンウェハに関する。] 背景技術 [0002] 化石油の世界的供給は、次の数十年間で徐々に枯渇することが想定される。これは、現在のエネルギー消費および来る世界的なエネルギー需要の増加の両方に対応するために、前世紀の我々の主要エネルギー源を数十年内に取り替えなければならない。] [0003] 加えて、化石エネルギーの使用が、危険になり得る程に地球温室効果を増大させている。したがって、好ましくは、化石燃料の現在の消費を、我々の気象および環境に応じて再生可能および持続可能なエネルギー源/キャリヤーと取り替える必要がある。] [0004] 1つの当該エネルギー源は、人間のエネルギー消費量の現在および当面の増加を大きく上回るエネルギーを地球に照射する太陽光である。しかし、太陽電池電力は、今日までのところ高価すぎて原子力や火力等に太刀打ちできない。太陽電池電力の甚大な可能性が実現されるのであれば、これを変える必要がある。] [0005] 太陽電池の殆どは、単結晶または多結晶性シリコンから製造される。シリコン系光電材料は、表面反射率が高いために、通常、入射放射線の吸収を向上させることで、電池で生成する電流を増大させるように表面が処理されている。粗面は吸収を向上させ、平坦面は、入射光をより高程度に反射する。電池の効率性を最大にするために、それらをテクスチャ処理し(粗くし)、かつ/または1つまたは複数の誘電体層を堆積することによって反射防止膜で被覆する。] [0006] シリコンウェハのテクスチャ処理は、現在、強アルカリ溶液またはフッ化水素酸と硝酸との混合物での化学エッチングによって行われている。残念なことに、どちらの技術にも明らかな欠点がある。] [0007] アルカリ溶液でのエッチングは、Siの不均一溶解をもたらすため、不均一にテクスチャ処理される。その挙動の理由は、多結晶性Siの溶解が表面粒の配向に起因するものである。それにより、光の反射率が比較的大きくなる。この問題は、配向依存性である等方性エッチングをもたらすフッ化水素酸/硝酸でのエッチングの使用によって解決される。しかし、酸の取り扱いおよび廃棄物の処理は高コストで環境に有害である。また、この方法は、制御が困難であり、ウェハは、より損傷を受けやすく、該方法はより高価である。] [0008] 米国特許第6,284,670号には、マスクを介してシリコンウェハをKOH溶液で異方性エッチングすることによってシリコン表面上に凹部を形成した後に、異方性エッチングされた凹部を同じエッチング溶液で等方性エッチングするシリコンデバイスのエッチング法が開示されている。等方性エッチングは、0.3から6Vの電圧を印加することによって得られる。0.2Vから0ボルトの電圧で、エッチングが異方性になり、印加電位によって強化される化学エッチング法と見なさすことができる。異方性エッチングは、鋭いエッジ/コーナーを有する凹部をもたらすことが報告されているのに対して、等方性エッチングは、凹部の表面部分を滑らかにして、異方性化学エッチングによって形成された凹部に丸められたエッジ部分をもたらす。] [0009] 水中のシリコンの電気化学的挙動は、電位、pHおよび温度の関数である。25℃で形成された反応物および生成物が、図1に示されるようなPourbaixダイアグラム[1]に記載されている。そのダイアグラムは、それらの平衡状態における電気化学反応についての電位とpHの関係を示す。] 図1 [0010] Siと水のアノード反応を以下の式で示すことができる。 Si+2H2O=SiO2+4H++4e− (1)] [0011] この反応の平衡電位は、以下の通りである。 E(0)=−0.857−0.0591pH (2)] [0012] 電位(式2)は、pHに依存し、図1のダイアグラムの線3によって表される。SiO2は、その線より上で安定している。その線より下では、Siは、熱力学的観点で安定している。] 図1 [0013] ダイアグラムにおける線5は、以下の反応を示す。 SiO2+H2O=HSiO3−+H+ (3)] [0014] HSiO3−濃度は、pHによって変化する。 log(HSiO3−)=−15.21+pH (4)] [0015] 10−4Mに等しいHSiO3−濃度では、pHが11.21となる。ダイアグラムにおいてaおよびbで表される線は、それぞれ水素および酸素生成反応を示す。これらの線の間の電位−pH範囲は、水の安定範囲を示す。] [0016] 低pH値では、反応式3の平衡が左にシフトして、SiO2が得られる。] [0017] pH10未満で形成された酸化物は、HF溶液を除く水溶液中で安定している。しかし、より高いpH値では、SiO2が水と反応し、異なる珪酸塩、すなわちH2SiO3、HSiO3−およびSiO32−を形成する。それらの珪酸塩の溶解度は、溶液に存在するカチオンに依存する。Na、K等のアルカリ金属を含むアルカリ溶液中では、珪酸塩は水溶性である。] [0018] 米国特許第6284670号明細書] 先行技術 [0019] Marcel Pourbaix,Atlas of Electrochemical Equilibria in Aqueous Solutions, NACE,Houston Texas, USA] 発明が解決しようとする課題 [0020] 本発明の目的は、シリコンウェハをテクスチャ処理するための方法であって、アルカリエッチング溶液の使用を可能にし、現在の化学エッチング法が施されたウェハと比較して有意に低い反射性をシリコンウェハに与える方法を提供することである。] [0021] 以下の発明の詳細な説明および/または特許請求の範囲に記載されている特徴によって本発明の目的を達成することができる。] 課題を解決するための手段 [0022] 本発明は、アルカリ溶液でのシリコンウェハのエッチングの間に水の安定電位を超える電位を印加することによって、ウェハ表面に酸素およびプロトンを局部的に形成させて、ウェハ表面のpHを下げることに基づく。さらに、十分に強い電位を印加することによって、電流密度が有意に強い局部的なスポット/領域をウェハ表面に形成させることで、プロトンを形成させてpHを下げて、強アルカリ溶液中でも安定なSiO2の形成を可能にする。さらに、これらの(SiO2の形成によって)不動態化された部分の隣接部は、電流に誘発されたプロトン形成によって保護されないため、アルカリ溶液によるエッチングを受ける。したがって、強アルカリエッチング溶液で高電位を使用すると、アルカリ溶液でのシリコンの異方性化学エッチングが、アルカリ溶液での従来の化学エッチングより均一な特性を有するより等方性の強いエッチングにシフトすることになる。したがって、本発明によるアノード極性化は、ウェハの均一なエッチングをもたらす。] [0023] したがって、第1の態様において、本発明は、シリコンウェハをテクスチャ処理するための方法であって、 −pH10を超えるアルカリ溶液にウェハを浸漬させるステップと、 −電解質中でウェハと白金電極との間に+10から+85Vの範囲の電位差を印加するステップとを含む方法に関する。] [0024] 本明細書に使用されている「異方性エッチング」という用語は、シリコン材料の結晶における異なる方向で異なるエッチング速度を含み、そのため、表面粗さが大きい表面部分をもたらすエッチング法を指す。したがって、本明細書に使用されている「等方性エッチング」という用語は、シリコン材料の異なる結晶方向において同じ速度で行われ、均一にテクスチャ処理された表面を提供するエッチング法を指す。本明細書に使用されている「テクスチャ処理された表面」という用語は、表面粗さを増強させるための処理が施された任意の表面を指す。] [0025] 本明細書に使用されている「アルカリ溶液」という用語は、任意の水酸化アルカリ金属水溶液を指す。アルカリ溶液を製造するための適当なアルカリ化合物の例としては、LiOH、RbOH、NaOHおよびKOHが挙げられるが、それらに限定されない。] [0026] 本明細書に使用されている「電位差」という用語は、2つの点の間の電位の差、すなわち起電力(EMF)としても知られる、単位電荷を1つの点から他点に移動させる電気力に対して実施されなければならない作用を指す。電位差の量は、作用電極と白金の対向電力との間のVで示される。] [0027] 本発明による方法は、入射放射線の反射率を有意に低減する、つまり電池の効率性を有意に向上させるシリコンウェハ上の均一な表面テクスチャ処理を提供する。この効果は、以下のメカニズムによって得られると考えられる。] [0028] 水の安定領域より高い印加電位は、以下の反応によって、水をプロトンおよび酸素ガスに分解する。 2H2O=O2+4H++4e− (5)] [0029] 一方で、シリコンがアルカリ溶液にアノード溶解する。 Si=Si4++4e− (6)] [0030] 両反応は、表面上で生じる。表面におけるpHが10を超える場合は、Si4+イオン(式5)が直ちに水と反応し、珪酸塩イオンを形成する。他方で、電流密度が大きい場合は、酸素反応(式5)が、表面上で局部的にpHを下げるプロトンを生成する。それにより、SiO2が表面に形成される。全体反応は、上に示される式1によって表される。] [0031] 表面上のSiの溶解およびSiO2の形成は、最初に、(100)である優先的配向を有する結晶面上で生じる。さらに、これらの反応は、最初に、酸素反応が最も強い局部で生じる。それにより、これらの部分は、SiO2の形成によって不動態化され、近隣部分の溶解(エッチング)を可能にする。酸素反応速度は、不動態化された部分で遅くなり、それによって、pHが上昇し、酸化物が溶解し、アノード溶解が生じる。そのプロセスは、表面にわたって変動することにより、不均一な溶解を引き起こして、従来の化学エッチングを通じて得られるものより均一にテクスチャ処理された表面を提供する。高度な極性化は、溶解の観点からあまり好ましくない配向を有する粒を活性化する。電流密度が大きくなることによって、その部分が局部的にエッチングされ、不動態化される。そのプロセスは、定常状態が達成されるまで続く。] [0032] アルカリ溶液中で表面に形成されたSiO2は、表面のpHが局部的に十分に低い(pH<10)限り安定する。電流の局部的変動により、酸化物は、溶解する傾向がある。記載されているように、最初の状態の後に定常状態が得られる。つまり、酸化物の溶解速度と形成速度は等しい。表面に形成された酸化物は多孔質になる。その厚さは、印加電位、アルカリ濃度および温度に依存する。] [0033] SiおよびSiO2の溶解速度は、OH−イオンの濃度および温度に依存する。溶解速度は、OH−含有量および温度とともに大きくなる。テクスチャ処理を最適にするために、所望の構造を与えるパラメータの組合せを見いだすことが必要である。パラメータは、電位対曝露時間、アルカリ濃度および温度である。しかし、恐らくは、許容可能なテクスチャ処理を与えるのは、1セットのパラメータだけでない。したがって、本発明は、当業者が、一般知識および/または試行的な実験によって見いだすことが可能であるパラメータ範囲の広範な集合を網羅する。] [0034] NaOHまたはKOHをアルカリ成分として使用する場合に、発明の方法を採用する可能なパラメータは、以下の通りである。アルカリ溶液の濃度は、約2重量%アルカリから飽和までであるが、典型的には約10重量%から約40重量%アルカリの範囲である。浴温度は、約10℃から約70℃までであってよいが、典型的には約30℃から約50℃の範囲である。記載されているように、ウェハおよび白金対向電極への印加電位は、+10から+85Vの範囲であってよいが、典型的には約+20から+85Vの範囲である。] [0035] 曝露時間、または電位差が印加されたときにアルカリ浴にウェハを浸漬させる時間である極性化時間は、浴濃度、浴温度および印加電位差に依存する。曝露時間は、浴濃度、浴温度および印加電位差の上昇に伴って減少する。以上に示されているパラメータ範囲内において、曝露時間は、約1分から約2時間までであってよいが、典型的には約5から約30分の範囲である。以上に示されているパラメータでは、「約」という用語は、これらの範囲が絶対的でないことを示唆するように適用される。] [0036] 有利には、損傷のない表面の取得および/またはウェハの最終的な表面酸化物層の除去のために、電位を印加する前に短い予備エッチング時間にわたって、ウェハをアルカリエッチング液に浸漬させることができる。予備エッチング時間は、損傷の程度、ウェハの表面酸化物層の厚さ、アルカリ濃度および浴温度に応じて、1〜2秒から約30分の範囲であってよい。典型的には、予備エッチング時間は、約5から10分である。] [0037] 電気化学的ピットエッチング効果を向上させるために、印加電位、そして電流をパルス化することができる。アルカリ成分としてのNaOHまたはKOHの場合は、電位を85から20Vにパルス化することができ、アルカリ溶液は、2から40重量%KOHまたはNaOHであってよく、温度は、30から70℃であってよい。好適なパラメータの組合せの例としては、85から20Vの電位パルス化、10から40重量%のKOHまたはNaOHおよび30から50℃の温度;10〜40重量%KOHまたはNaOHでの10〜20Vの電位パルス化および50〜70℃の温度;30〜50℃の温度における2〜10重量%KOHもしくはNaOHまたは40重量%から飽和KOHもしくはNaOHでの85から20Vの電位パルス化;ならびに10〜30℃または50℃からKOHもしくはNaOHの沸点における2〜10重量%KOHもしくはNaOHまたは40重量%から飽和KOHもしくはNaOHでの85から20Vの電位パルス化が挙げられるが、それらに限定されない。] [0038] 本発明は、より環境に優しく、コスト効果の高いアルカリエッチング溶液を使用し、プロセス制御の問題をもたらすことなく、HF/HNO3プロセスと同じ好適なテクスチャ処理を得る。さらに、電気化学的極性化を通じて形成された多孔質表面のSiO2層は、屈折率が、ウェハに使用されたSiの屈折率より小さいことから、光の吸収を増大させる。したがって、その反射防止特性が、極性化パラメータの選択に考慮される。酸化物の構造および厚さは、OH−濃度、電位、温度および曝露時間のパラメータに依存する。] 図面の簡単な説明 [0039] SiのPourbaixダイアグラム[非特許文献1]である。 切断されたままの状態のシリコンウェハの3000倍のSEM顕微鏡写真である。 化学エッチングされたウェハを示す顕微鏡写真である;20重量%KOH、50℃および10分間の曝露時間。写真a)は1150倍であり、b)は3200倍である。 50℃において30重量%KOHで5分間にわたって予備エッチングされ、次いで25Vで10分間にわたって極性化されたウェハを示す顕微鏡写真である。写真a)は650倍であり、b)は17000倍である。 25Vにおいて10分間にわたって50℃にて30重量%KOHで極性化されたウェハを示す顕微鏡写真である(予備エッチングなし)。写真a)は1700倍であり、b)は3200倍である。 40℃にて20重量%KOHで10分間にわたって予備エッチングされ、次いで50Vで5分間にわたって極性化されたウェハを示す顕微鏡写真である。写真a)は320倍であり、b)は3200倍である。 50℃にて10重量%KOHで10分間にわたって予備エッチングされ、次いで50Vで10分間にわたって極性化されたウェハを示す顕微鏡写真である。写真a)は320倍であり、b)は3200倍である。 50℃にて5重量%KOHで15分間にわたって予備エッチングされ、次いで50Vで10分間にわたって極性化されたウェハを示す顕微鏡写真である。写真a)は320倍であり、b)は3200倍である。 50から25Vのパルス化電位で70℃にて5重量%KOHで5分間にわたって極性化されたウェハを示す顕微鏡写真である(予備エッチングなし)。写真a)は320倍であり、b)は3200倍である。 70℃にて2重量%KOHで5分間にわたって予備エッチングされ、次いで50から30Vのパルス化で5分間にわたって極性化されたウェハを示す顕微鏡写真である。写真a)は1700倍であり、b)は3200倍である(a)の近隣部分を示す)。 40℃にて42重量%KOHで10分間にわたって予備エッチングされ、次いで85Vで0.5分間にわたって極性化され、次いで50Vで5分間にわたって極性化されたウェハを示す顕微鏡写真である。写真は、3200倍である。 50℃にて20重量%KOHで5分間にわたって予備エッチングされ、次いで6Vで10分間にわたって極性化されたウェハを示す顕微鏡写真である。写真は、1000倍である。 85℃にて20重量%KOHで5分間にわたって予備エッチングされ、次いで6Vで10分間にわたって極性化されたウェハを示す顕微鏡写真である。写真は、1000倍である。 50℃で10分間にわたって20重量%KOHに曝露された、化学エッチングされたウェハから記録したXPS−スペクトルである。これは、図3と同じサンプルである。 予備エッチングおよび極性化されたサンプル(30重量%KOH、25V、10分)から記録したXPSスペクトルである。表記(0nm、10nmおよび20nm)は、イオンエッチング深さを表す。 40℃にて20重量%KOHで10分間にわたって予備エッチングされ、次いで20Vで5分間;50Vで5分間、70Vで0.5分間;50Vで5分間;70Vで0.5分間;50Vで3分間;20Vで4分間にわたって極性化されたサンプルから記録したXPSスペクトル(200倍)。イオンエッチング深さは、0nm、20nm、40nmおよび60nmである。これは、図17a〜17dと同じサンプルである。 40℃にて20重量%KOHで10分間にわたって予備エッチングされ、次いで20Vで5分間、50Vで5分間、70Vで0.5分間、50Vで5分間、70Vで0.5分間、50Vで3分間、および20Vで4分間にわたって極性化されたシリコンウェハのSEM顕微鏡写真を示す。写真a)は320倍であり、b)は3200倍であり、c)は17000倍であり、d)は35000倍である。 シリコンウェハからの入射光の実測反射率の比較を示す。上の曲線は、KOHで化学エッチングされたウェハを示し、中央の曲線は未処理の(切断されたままの状態)ウェハを示し、下の曲線は、本発明に従ってエッチングされたウェハを示す。] 図17a 図17b 図17c 図17d 図3 実施例 [0040] 本発明の効果を検証する実験を介して本発明をさらに詳細に説明する。これらの実験は、強アルカリ溶液でのシリコンウェハの異方性エッチングを得るのに十分に高い電位を採用する全体的な発明の思想を限定するものと見なされるべきではない。] [0041] Siウェハの構造に対する電気化学処理の影響を実証するために、一連の実験を実施した。サンプルを鋸引き法によって採取し、切り溝および鋸引き流体の残留物を除去するための従来の手順に従って洗浄・乾燥して、3000倍のSEM顕微鏡写真である図2に示されるような未処理のウェハを形成した。写真は、シリコン鋳造物を切断することによるウェハの製造が、シリコンを脆性破壊させる研磨摩耗機構によってなされることを示している。切断されたままの状態のウェハの表面は非常に高光沢であり、入射光の約30%が反射される。] 図2 [0042] 2から42重量%の範囲で変化する濃度でKOHを含有する水溶液にウェハを曝露した。温度範囲は、30から70℃であった。極性化時間は、2から15分であり、電圧は、20から85Vの範囲で変化した。サンプルと白金対向電極との間の電位を測定した。曝露後、サンプルを取り出し、脱イオン水に浸漬させ、エタノールを噴霧し、暖かい空気流で乾燥させた。取り出した直後に電位をオフに切り換えた。しかし、これは重要でないことが分かった。これは、酸化物の溶解を防止するために行った。] [0043] 図2から13に示される実施例の処理の概要を表1に示す。実験は、表に示される範囲外のパラメータ集合も用いて実施した。これらを以下に解説する。電気化学テクスチャ処理の技術的用途は、図に記載されている実験に使用されたパラメータ集合体の範囲内である。] 図2 [0044] 電位を印加する前にサンプルのいくつかを曝露溶液で予備エッチングした。これらの実験は、極性化の前の開放電位における化学エッチングの影響を明らかにするために行った。予備エッチングの間に、ウェハの鋸引き時に形成された酸化物が溶解する。予備エッチングの必要性は曝露パラメータに依存することが以下に結論づけられる。] [0045] ] [0046] 図3(1150倍および3200倍)は、化学エッチングされたウェハの表面を示す。曝露は、50℃にて20重量%KOHで10分間行った。2分後に強い水素の発生が確認され、それは、前形成された酸化物が除去されたことを示している。エッチパターンは、ピラミッド構造の多結晶性Siのエッチングに特有のものである。図3aは、(100)および(110)面のエッチングを通じて得られ、平坦部分は(111)面からのものである。この場合に使用した温度および濃度は、実際よりも低い可能性がある。しかし、この場合の予備エッチングは、鋸引き時に形成された表面欠陥を除去するのに十分であった。] 図3 図3a [0047] 図4に示されるサンプルを50℃にて30重量%KOHで5分間にわたって予備エッチングし、次いで25Vで10分間にわたって極性化した。低倍率(650倍)では、表面が等方的にテクスチャ処理されて窪みが形成されたものと思われる。窪みの「直径」は、2から10μmの範囲である。より高倍率(17000倍)において、図4bは、窪みに微細穴が形成されていることを示している。穴開口の直径は約200nmである。以下に、酸化物形成の観点で穴形成メカニズムを説明する。] 図4 図4b [0048] 予備エッチングの影響を図5に実証する。それは、図4のものと同じ電気化学パラメータに曝露されたサンプルを示すが、該サンプルは予備エッチングされていなかった。溶液に曝露した直後に電位を印加した。表面は均一にエッチングされず、その領域の比較的大部分は、全くエッチングされていない。予備エッチングは、表面酸化物膜を除去し、穴形成プロセスを促進することが明白である。] 図4 図5 [0049] 図6から10は、それぞれ20、10、5および2重量%のより低い濃度のKOHを含む溶液で実施された電気化学エッチングを示す。できるだけ良好なエッチング結果を得るために、その他のパラメータを変更することが必要であった。図6に示されるサンプルを40℃(図4より低い値)にて20重量%KOHで極性化した。図4に示されるのと同じ等方的テクスチャ処理を得るために、印加電圧を25Vから50Vに増大させる必要があった。一方、曝露時間を5分に短縮することが可能であった。] 図4 図6 [0050] 図7および8は、10および5重量%KOHでのエッチングが、許容可能な表面構造を与えることを実証するものである。これらの場合、予備エッチングをそれぞれ10分および15分に延長した。温度、電圧および極性化時間は、50℃、50Vおよび10分であった。] 図7 [0051] また、予備エッチングをせずに5重量%KOHで実験を実施した。5分後に70℃で比較的良好なエッチング効果を達成した(図9参照)。しかし、表面の一部しかエッチングされなかった。この温度において、電池電流が大きくなったため、約30秒後に電圧が50Vから25Vに低下した。] 図9 [0052] 図10の顕微鏡写真は、70℃で2重量%KOHに曝露されたサンプルのものである。それを5分間にわたって予備エッチングし、50Vで数秒間にわたって、次いで30℃で5分間にわたって極性化した。この場合でも、表面が一部しかエッチングされていなかった。しかし、エッチングされた部分における窪みは、より低い温度にてより高いKOH濃度で得られるものと同じ形態を有する。] 図10 [0053] 上記より、予備エッチングは、溶解プロセスを強化することが明らかである。高温(70℃)において、必要な予備エッチング時間は比較的短いと思われる。予備エッチング時間を最適化するための試みは行われなかった。] [0054] 図11は、高電圧(85V)でエッチングした後の構造を示す。サンプルを40℃にて42重量%KOHで10分間にわたって予備エッチングし、次いで約30秒間にわたって85Vで極性化し、次いで5分間にわたって50Vまで低下させた。最初は電流が非常に大きく、電圧を下げた後も電流は大きくなった。3200倍の図から、表面が強くエッチングされていると思われる。しかし、恐らくはより低いKOH濃度およびより低い温度で最適な構造を達成することができる。高い電位でも所望の表面構造を得ることができることを実証するために実験を行った。] 図11 [0055] 低電圧でも実験を実施した。図12および13は、それぞれ50℃および85℃において20重量%KOHで6Vにて10分間にわたって極性化した後の表面を示す。サンプルをそれぞれ5分間および2分間にわたって予備エッチングした。図から、サンプルは、電気化学処理の影響を全く受けていないと思われる。両サンプルは単に化学エッチングされている。] 図12 [0056] 本発明の背後にある主たる思想は、極性化の間に、表面pHは、SiO2の形成を可能にするのに十分に低くなることである。それらの結果は、十分な酸素が表面上に形成されるように電位が比較的高くなければならないことを実証している。6Vで実施された実験は効果を示さなかった。電位をより高くすべきである。この低電位において、ウェハは、KOHの濃度が高い(20重量%)にもかかわらず、50℃でも85℃でも電気化学エッチングされていない。] [0057] 記載のように、穴形成構造体は、酸素反応によって支配される表面pHの局部的変化による、同時酸化物形成および溶解プロセスによって得られる。したがって、異なる処理の後の酸化物の形成を調べることが興味深い。XPS(XPS−X線光電子分光分析法)を利用することによって、いくつかのサンプルの曝露後の酸化物の厚さを測定した。] [0058] 図14は、図3に示される、化学エッチングされたサンプルから記録されたSi 2pシグナルを示す。酸化物の厚さは、酸化物Si4+およびゼロ価状態のシリコンSi0を示すピークの強度から計算される。推定される酸化物の厚さは1.5nmである。] 図14 図3 [0059] 図15は、図4に示されるサンプルのSi 2pスペクトルを示す。酸化物は、電子平均自由行程の3倍より厚いため、純粋なSi状態を検出することができない。酸化物の厚さを測定するために、表面を段階的にイオンエッチングし、分析した。それによって酸化物の厚さを測定することができる。エッチの深さを図に標示する。受容されたままの状態の状態および10nmのイオンエッチング後の状態から酸化物の状態のみが記録されると思われる。本来の表面の20nm下までエッチングした後、ゼロ価状態のSiを検出する。このエッチング深さでは、酸素シグナルの強度がその最大値の半分まで低下した。この状態を酸化物の厚さの測度として使用する。したがって、このサンプルの電気化学エッチングの間に形成された酸化物の平均厚さは、10から20nmの範囲である。酸化物は、厚さが均一でないことを指摘すべきである。それは、Siの溶解を可能にするために多孔質でなければならない。この実験は、等方的テクスチャ処理法が、ウェハと白金対向電極との間に+10Vより高い電位が印加された場合にのみ生じる、酸素形成および溶解メカニズムによって支配されるという発見を裏づける。] 図15 図4 [0060] それらの結果が図16および17に示される実験の目的は、電池電圧を変化させることによって、表面形態および酸化物の厚さを操作することができることを実証することであった。サンプルを40℃にて20重量%KOHで10分間にわたって予備エッチングした(図6と同じ)。曝露の間に、電圧を時間に対して以下のように変化させた。5分間にわたって20V;5分間にわたって50V;0.5分間にわたって70V;5分間にわたって50V;0.5分間にわたって70V;3分間にわたって50V;および4分間にわたって20V。全曝露時間は、23分間であった。図16は、記録されたXPSスペクトルを示す。この場合、Si(0)状態を記録する前に、サンプルを本来の表面の40nm下までエッチングしなければならない。そのレベルでは、酸素シグナルがその最大値の半分まで低下した。したがって、平均酸化物厚さは、約40nmである。] 図16 図6 [0061] 図17a〜17dのSEM顕微鏡写真は、様々な電位で極性化されたサンプルの表面を示す。同じ形態が表面の至る所に見られる。図17aおよび17bは、粗い窪みが5から20μmの範囲であることを示している。粗い窪みの内部およびそれらの縁に、より小さい穴が現れている。これらの開口は、2μm以下である。高倍率、すなわちそれぞれ17000および35000倍の図17cおよび17dにおいて、微細穴がこれらの穴に形成されると思われる。これらの微細穴の「直径」は、100から200nmの範囲である。] 図17a 図17b 図17c 図17d [0062] 二次電子によって記録される微細穴は、表面上の酸化物の不均一な分布の影響であり得る。穴の縁は酸化物の隆起部によって修飾されること、および酸素反応は、それらの根部で生じることが示唆される。溶解は、窪みの中心で生じる。後にそのメカニズムの詳細を解明しなければならない。] [0063] [反射率測定] 記録されたデータ、すなわち光の反射率対波長を図18に示す。中央の曲線は、切断されたままの状態のサンプルの反射率を示す。上の曲線は、化学的にNaOH(アルカリ)でエッチングされた表面から得られたものである。この表面状態は、従来の化学エッチング法を採用して今日のREC ScanCellで製造されたウェハの表面状態である。下の曲線(A7)は、上記実施例に示される極性化の後に得られたものである。それらの図は、反射率を大きく低下させることが可能であることを示す。実際、500nmの波長において、極性化されたサンプルの反射率は、アルカリエッチングされた表面から記録されたものの1/3に減少する。] 図18
权利要求:
請求項1 シリコンウェハをテクスチャ処理するための方法であって、pH10を超えるアルカリ溶液に前記ウェハを浸漬させるステップと、電解質中で前記ウェハと白金電極との間に+10から+85Vの範囲の電位差を印加するステップと、を含む方法。 請求項2 前記アルカリ溶液が、以下の化合物、すなわちLiOH、RbOH、NaOHおよびKOHの1種または複数の水溶液であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。 請求項3 極性化時間が、約1分から約2時間の範囲、好ましくは約5から約30分の範囲であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。 請求項4 前記アルカリ溶液が、KOHまたはNaOH溶液であり、濃度は、約2重量%アルカリから飽和まで、好ましくは約10重量%から約40重量%アルカリの範囲であり、浴温度は、約10℃から約70℃まで、好ましくは約30℃から約50℃であり、極性化時間は、約5分から約30分であり、前記ウェハおよび白金対向電極に対する印加電位は、約+20から+85Vの範囲であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。 請求項5 前記アルカリ溶液が、KOHまたはNaOH溶液であり、濃度は、2から40重量%KOHまたはNaOHであり、浴温度は、30から70℃であり、印加電位は、85および20Vの間でパルス化することを特徴とする、請求項3に記載の方法。 請求項6 前記アルカリ溶液の濃度が、10から40重量%であり、浴温度が30から50℃であり、印加電位が、85および20Vの範囲でパルス化することを特徴とする、請求項5に記載の方法。 請求項7 前記アルカリ溶液の濃度が、2から10重量%であり、浴温度が30から50℃であり、印加電位が、85および20Vの範囲でパルス化することを特徴とする、請求項5に記載の方法。 請求項8 前記アルカリ溶液の濃度が、2から10重量%であり、浴温度が10から30℃であり、印加電位が、85および20Vの範囲でパルス化することを特徴とする、請求項5に記載の方法。 請求項9 前記アルカリ溶液の濃度が、10から40重量%であり、浴温度が50℃からKOHまたはNaOH溶液の沸点であり、印加電位が、85および20Vの範囲でパルス化することを特徴とする、請求項5に記載の方法。 請求項10 前記ウェハが、電位を印加することなく前記アルカリ溶液に浸漬されることによって、電位が印加される前に予備エッチング時間を経ることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の方法。 請求項11 前記予備エッチング時間が、1〜2秒から約30分、好ましくは約5から10分で変化することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
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